「ネイルサロンを始めたのに、なかなかお客様が来てくれない…」

「SNSでの情報発信やWebプロモーションにも力を入れているのに、思うように売上が伸びない…」

「スタッフ教育に時間とコストをかけているのに、リピーターが増えない…」

日々、より良いネイルサロンづくりのために努力を重ねているのに、なかなか結果に結びつかない。そんなジレンマを抱えているサロンオーナーの方は少なくないのではないでしょうか。

私は15年以上にわたってパーソナルスタイリングサロンを経営しながら、心理カウンセラーとして活動する公認心理師でもあります。この経歴を活かし、数多くのネイルサロンを、サロン経営の視点と接客心理学の視点から改善・サポートしてきました。

そんな中で、常々感じていることがあります。それは、真摯な努力が、集客へと結び付いていないネイルサロンがあまりに多い、ということ。そこにはまるで”見えない壁”があるかのようです。

では、その”見えない壁”の正体とは何なのか。そして、どうすれば乗り越えられるのか。

一つでも多くのネイルサロンにその”壁”を乗り越えてもらいたい! そんな思いで、この記事ではその方法がわかる診断チャートを作成してみました。簡単な設問に答えるだけで、あなたのサロンの”見えない壁”を生んでいる課題がわかります。

久野梨沙
スタイリスト・公認心理師

15年以上にわたりパーソナルスタイリングサロンを経営する傍ら、心理カウンセリングの手法を活用したサロン接客改善プログラムを開発。

数多くのネイルサロン、美容サロンのコンサルティングに携わり、リピート率向上や売上改善を実現してきた。心理カウンセリングの専門知識と実践的なサロン経営の知見を組み合わせた独自のアプローチには定評がある。

    「お客様が来ない」問題、あなたのネイルサロンはどのタイプ?

    ネイルサロンや美容サロンの接客改善のお手伝いをする中で私が気づいたのは、「お客様が来ない」という課題の裏には、実は4つの異なるタイプがあるということです。

    あなたがどのタイプに当てはまるか、以下のチャートで早速診断してみましょう!

    「テキスト下手」タイプ

    LINEやWeb予約フォームでのやり取りでの成約率が低いタイプです。対面では良好なコミュニケーションが取れているのに、なぜかテキストでの対応では予約につながりにくい傾向が・・・・・・。文章での信頼関係の築き方に課題があるケースが多く見られます。

    「本音キャッチ不足」タイプ

    カウンセリングの際、お客様の表面的な要望は聞き取れているものの、真の期待や不安を十分に引き出せていないタイプです。提案をしてもお客様から「イメージと違う」とか「考えてみます」とあまり良くない反応をされてしまうことが多いのが特徴です。お客様の深層心理を理解するスキルを磨くことで、大きく改善します。

    「接客ばらつき」タイプ

    1人サロンの場合には、接客が上手く行くときと行かないときの差が激しいタイプ。複数のスタッフを抱えている場合には、スタッフによって接客の質にばらつきがあり、特定のスタッフに指名が集中するタイプです。サロン全体としての接客の統一感が不足していそう。カウンセリングの基準やプロセスを明確にすることで解決できます。

    「信頼関係不足」タイプ

    技術力もあり、基本的な接客も問題ないのに、新規のお客様のリピート率が30%未満に停滞してしまっているタイプです。お客様に合った声掛けができていないために、せっかくの提案がうまく伝わっていないことが原因。コミュニケーションの仕方を工夫することで、大きく改善できます。

    このように、「お客様が来ない」という同じ悩みでも、その原因は様々。でも、それぞれのタイプに合わせた適切なアプローチを知ることで、必ず”壁”は打破できます!

    それぞれのタイプに合わせた具体的な改善ステップで「お客様がどんどん来る」ネイルサロンに!

    【4タイプ診断つき】ネイルサロンにお客様が来ない原因と対策|15年以上のサロン経営者が教える明日からできる改善ステップ

    診断チャートで、あなたのネイルサロンの課題が具体的に見えてきたのではないでしょうか。お客様が来ないという悩みも、その原因がはっきりとわかれば改善方法もより具体的に見えてくるものです。

    ここからは、それぞれのタイプに合わせた具体的な改善方法をご紹介します。15年以上のサロン経営で培ってきた経験と、カウンセリングの専門知識を組み合わせて開発した、効果的なアプローチをお伝えしていきます。

    テキスト下手タイプはちょっとした言葉の使い方で、来店率が大幅UP!

    SNSやWeb予約が当たり前となった今、お客様とのファーストコンタクトの多くはテキストコミュニケーションです。実は、ここでのちょっとした工夫が、その後の信頼関係構築を大きく左右します。

    一番よくある状況が、お客様からネイルデザインの写真と共に「このデザインでお願いします」というメッセージが届いたとき。多くのネイルサロンでは「承知いたしました。ご予約日時はいつがよろしいでしょうか」といった返信で終わってしまいがちです。

    でも、そこで一歩踏み込んで「素敵なデザインですね。こちらのお花モチーフは、○○様の手元を優しい印象に演出してくれそうです」といった一言を添えることで、お客様の期待感は大きく高まります。

    また、デザインを実現するために必要な施術時間や予算についても、「こちらのデザインは約2時間で仕上がります。予算の目安は○○円前後となりますが、パーツの数を調整することで、ご予算に合わせたアレンジも可能です」といった具体的な情報提供が、お客様の不安を解消するポイントになります。

    お客様から複数の要望をいただいた際の返信も重要なポイント。「承知いたしました」という一言だけの返信では、すべての要望を理解してもらえたのか不安に感じるお客様も多いもの。

    「他店でつけたジェルネイルのオフの件、また、15時までに終了ご希望の件、確かに承りましたのでご安心下さい。」というように、ポイントを簡潔にまとめて繰り返しながら承知の旨を伝えることで、お客様に安心感を持っていただけます。

    本音キャッチ不足タイプは、「察する」ことをあえてやめると上手く行く

    私たちは無意識のうちに、つい自分の価値観でお客様の言葉を解釈してしまいがち

    例えば、

    「シンプルなデザインでお願いします」

    とお客様に言われたら、シンプルなネイルが好きなネイリストは「この方もナチュラルな雰囲気がお好みなのかしら」と解釈してしまうし、逆に、華やかなデザインが好きなネイリストは「きっとシンプルなネイルにしかできない職業なんだな」ととっさに考えてしまいがちなんです。こうした、悪意のない思い込みが、お客様の本当の想いを見逃してしまう原因に・・・・・・。

    本音を引き出すには、まず「普段はどんなネイルをされていますか?」と、先入観なく質問を投げかけることから。そこから「実は職場が…」「プライベートではもっと…」といった会話が生まれ、お客様の価値観やお好みが見えてきます。

    さらに「普段のお手入れで気になることは?」「どんなときに自分のネイルが目に入る?」など、お客様の生活スタイルに寄り添った質問を重ねることで、徐々に具体的な要望も明確になっていきます。

    そうすれば最終的に、

    「職場でもOKな、でもさりげなくおしゃれを楽しめるデザインとして、こちらはいかがでしょう?」

    といった具合に、お客様の本音に寄りそった提案ができるようになるのです。こうすることで、お客様の満足度は大幅UPします。

    接客ばらつきタイプは、お客様の反応へのアンテナをサロン全体で研ぎ澄ませて

    「このパーツを追加してみませんか?」 「爪の状態が気になるので、ケアをおすすめします」

    こうした提案が、なぜあるスタッフが行うと自然に受け入れられ、別のスタッフが行うと断られがちなのでしょうか。

    実は、言葉の選び方や提案内容以前に、お客様の微細な表情の変化に気づき、それに応じた対応ができているかどうかが重要なのです。

    例えば、デザインカタログを見ながらお客様が特定のページで少し長く目を止めた時、それは「本当はこうしたい」というサインかもしれません。

    お客様が表情を曇らせたり、言葉を濁したりしたのであれば、「このパーツは変更しますか?」と単刀直入に聞くのではなく、「このデザインで何か気になるところがあればお聞かせいただけますか?」と、お客様の不安や迷いに寄り添う声がけをするとよいでしょう。

    デザインの微調整が必要な場面でも同じこと。お客様の表情や仕草の変化に気づき、「どのようなイメージをお考えですか?」と、丁寧にご要望を探っていくと◎。

    こうした接客の質を、サロン全体で高めていくために効果的なのが、日々のロールプレイング。「もう少し華やかにしたいのですが…」というお客様の言葉に、どう反応するか。スタッフ同士で実践的なトレーニングを重ねることで、誰もが自然に、そして自信を持って提案できるようになっていきます。

    信頼関係不足タイプは、提案方法の使い分けがリピート率向上の決め手

    「どうしてうまく伝わらないのだろう…」

    丁寧に説明しているつもりなのに、お客様の表情がどこか曖昧なまま。そんな経験はありませんか?

    実は、この原因の多くは、私たち自身が「自分にとってわかりやすい説明方法」を無意識に選んでしまうことにあります。写真を見せながら丁寧に説明するのが得意なスタッフ、言葉で具体的に説明するのが得意なスタッフ。でも、その伝え方が、目の前のお客様にとってもわかりやすい伝え方だとは限らないんです。

    お客様一人ひとりの情報の受け取り方は実に様々。写真や色見本で理解が深まる方もいれば、具体的な言葉での説明を好まれる方、実際の質感を確かめることで納得される方もいらっしゃいます。

    大切なのは、お客様の反応を見ながら、説明方法を柔軟に切り替えていくこと。例えば、デザイン写真を見せた時の反応が曖昧な場合は、言葉での具体的な説明を加えたり、実際にネイルチップを爪に置いて確認いただいたり。

    このように、お客様一人ひとりの理解の仕方に合わせてアプローチを変えることで、確実な信頼関係を築いていくことができるのです。

    ネイルサロンの可能性を広げる新しいアプローチ、「顧客心理の理解」

    お気づきでしょうか?

    これまでご紹介してきた4つのタイプに共通するのは、実は「お客様の心理を理解する」という一つの軸なんです。テキストでのやり取り、カウンセリング、スタッフ間の接客の統一、そしてお客様一人ひとりに合わせた声がけ。これらはすべて、お客様の心理に寄り添うことから始まります。

    私が多くのサロンを見て気づいたのは、技術力や接客マニュアルの向上だけでは越えられない壁があること。そして、その壁を越えるためには、心理カウンセリングの手法を取り入れた新しいアプローチが必要だということです。

    今回ご紹介した内容は、ほんの入り口ですが、これだけでも実践することで、お客様との関係性がどんどん変わっていくことに気づけるはず。

    そしてさらに深く学べば、こちらが努力した以上のものがお客様から返ってきて、もっともっとサロンワークは楽しいものに・・・。そんな講座を開催します。一緒に、幸せなスパイラルを作っていきましょう。

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